Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―







「おまっ、どうしたんだよ! その顔!!」



俺の呼び出しに駆け付けた貴斗は、俺の切れた唇と腫れた頬に驚いたようだった。

西元寺貴斗(さいげんじ たかと)は俺の幼馴染みで親友だ。大学も同じ所に行っている。というより、俺が行くと言ったらついてきたって感じだ。



「ちょっと手こずっちまって」


「何してんだよ!」



あの後、様子を伺っていると男はどこかへ居なくなった。

その隙に拘束を解いたのは良いものの、奪われたスマホが見つからずに探していると戻ってきたそいつに見つかってしまったのだ。
なんとか逃げられたのは良いものの、何も聞き出すことは出来なかった。



「で? 結局スマホあったのかよ?」


「いや、無かった。それより……」


「はいはい、しょうがないなあ。“ミヤビさん”のこと、分かったぜ」







「ねえ、橘君見なかった!?」


キャンパスに戻って京一を探す。すれ違う人に片っ端から居場所を知らないかと尋ねると食堂の前で見ただの教授と一緒に歩いていただのキャンパスの外のカフェで見ただの情報が入ってきた。

教えてくれたのはほとんど女子で、やはり京一は人気者なのだと意識の外で思う。


くそ、どこにも居ねえ。何してんだよ、橘京一! 早くしねえと、レイが――!







『高田達弘は『清涼会』の下っ端だ。名前聞いたことねえか?』


『いや……』



あの埃臭い建物の外に出ると、それが住人の居ないゴーストマンションだと分かった。

それからすぐに貴斗に“高田達弘”と“ミヤビさん”について調べてくれるように連絡した。



『暴走族だよ。今時暴走族は族員がどんどん減ってんのに、清涼会だけはその数がほとんど変わらない。それに揉めた時に警察沙汰になる前に上手いこと無かったことになってる。だから警察にも捕まらない。何でか分かるか』


『――裏(バック)に何者かがいる、ってことか』


『正解。清涼会のメンバーは大体十代だ。そいつらがそんな巧妙なことなんて出来る筈が無い。それで探ってみたら……ビンゴ! “ミヤビさん”だよ』



貴斗は指を鳴らして言う。





『ヤクザか』




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