Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「おい、京一!?」
ユウに呼ばれている京一は、まだ目の焦点が合っていない。どこか遠くを見ているようでも、近くの少年を見ているようでもある。
京一、どこ見てるの?
じれったくなって、私は口を開いた。背伸びをして、上を向いて、液体が口に入らないように叫ぶ。
口から出たのはまだ捨て切れない僅かな希望だった。
「京一!! 助けて、京一!!」
私の声に、京一は反応しない。
――まだ目の焦点が合ってない。
精一杯の声で、出せるだけの声を出して私は彼を呼んだ。
その単語の響きは酷く懐かしくて、声にするのが少しだけ――怖かった。
「お兄ちゃん!!」
周りがざわついたのなんか気にしている暇はない。
「お兄ちゃん!! 助けてっ!!」
そう言い終わるや否や、コップの液体が口に流れ込んで来た。
溺れるような感覚の中でそれが喉を通り過ぎる。液体が流し込まれてからは、それを飲まないことよりも、それが気管に入らないようにする方に体は反応してしまう。
「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ……」
「優子!!」
「レイ!!」
その声も最早歪んで聞こえていた。
目を閉じる寸前に見ていた光景は、京一とユウが私名前を呼んでいるところだった。