Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
てめえが産んどいて「優子が生まれてきたのが悪い」? ふざけんなよ。そんな勝手な言い分あったもんじゃねえ。
何で優子がそんなこと言われなきゃならねえんだよ。
優子自身は意味が分かっていないのか下を向いたまま返事をしなかった。
でも本当は分かっていたのだ。全て。
その日の夕方、両親共に用事で家に居ない時、優子の部屋を覗くと一人で優子は泣いていた。
『うぇぇ……』
『優子!? どうした、優子!』
駆け寄って背中をさすると、嗚咽混じりに優子は俺に聞いた。
『おにーちゃ……全部、ゆうこが悪いの……? ゆうこの、せい……?』
『っ!!』
胸が抉られるようだった。
『悪くないよ。優子は何も悪くない』
『でもっ、おかあさんが……』
『優子! 大丈夫、優子は何にも悪いことなんてしてないよ』
『ほんと……?』
それから頭を撫でていてやると、優子は落ち着いてきた。
『よし、じゃあ今日は優子の好きなあれにしようか!』
その日の夕食は二人で食べた。
『うわぁ~、ハンバーグ?』
『そうだよ。優子が好きだから頑張ってみた』
『ん! 美味しい! お兄ちゃん、すごいね! コックさんみたい!』
可愛い笑顔に残る涙の跡を、俺はそっと拭った。
それから両親の言い争い――ほとんど父親の罵声だが――は更に酷くなっていき、母親はそれに呼応するように優子にキツく当たるようになった。
家は、いつも戦場のようなピリピリとした空気だった。
『全部、てめえのせいだろうがっ!!』
『あんたのせいよ!』
怒りの矛先を何の罪もない優子へと向けるその無責任な声を聞く度に、優子のことは俺が守らないといけないと強く思ったんだ。