Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―



でも……それは独りよがりだったのかもしれない。
いつの間にか、優子を守れていなかった。


いつから道を間違えたのだろう?

俺は、俺だけは優子を守ると、あの日決めた筈だったのに。



優子は見せないだけであの罵声は優子を苦しめていたんだ。



『あと一つだけ。……あの日――葬式の日の夜、レイは『自分のせいだ』って言ってたんだけど、何か知らねえか?』



その声は優子の中に巣食ってしまった。全て自分のせいだと苦しんでいた。最早呪いのように。

それに気付いた筈なのに、知らない振りをした。

……みっともない。
優子が縋ったこいつに嫉妬したんだ。



「……いち!! 助けて、京一!!」



何も守れてなどいなかった。

俺自身も、優子を傷付けてしまっていた。いつの間にか本来の目的も忘れて。

嫌われるのが怖くて、傷付くくらいなら傷付けてしまおうという醜い考えをどこかで抱いていた。
優子が俺に対して壁を作った時、自分のことは棚に上げて優子を責める自分を止めることが出来なかった。


――何故そんな目を向ける?
――俺はお前を守ろうとしただけなのに。
――元はと言えばお前があんな奴に目をつけられたから……。


弱かった。誰かを守れるほど強くなかったのだ。そしてまた、その弱さに目を向けることも出来なかった。

結局俺は俺しか守っていなかった。



『君のお母さんの葬式の日、レイは誰の名前を呼んでたと思う?』


『息も出来ないくらい泣いて、ずっと――京一って呼んでたんだよ』



ただ寂しい思いをさせただけだった。



「お兄ちゃん!!」



そう呼ばれてハッと我に返る。



「お兄ちゃん!! 助けてっ!!」



そう言い終わると同時に優子は液体飲ませられた。そしてすぐに膝から崩れ落ちるのが見える。



「優子!!」



叫び声に似た自分の声が聞こえた。



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