Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
俺の家の寝室、ベッドに横たわるレイの横で京一は清涼会の少年が持っていた錠剤を睨んでいた。
もう外は暗い。
レイを病院に連れていくかという話になって、飲まされたのは睡眠薬であるから取り敢えず寝かせようという結論に至った。京一のマンションと俺のとではあのビルに近いのは俺の方だったのだ。
俺達が到着する前、抵抗していたのだろう。レイは身体中に傷があり、俺はそれを手当てしていた。
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「それ、何だった?」
「“ハルシオン”だってよ」
ビルを出てすぐに俺が聞くと彼はパッケージを見て短く答えた。
「ハルシオンか」
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ハルシオンは睡眠薬だ。だがそれを悪用する性犯罪も多発していて、やはりデートレイプドラッグの一つである。
だから犯罪防止のために水に溶かすと青くなるようになっている。レイが飲ませられた液体も毒々しい青色だったからそれを飲ませたというのは本当だろう。
「2錠って言ってたな。それ1錠どんくらいだ?」
「0.25ミリグラムって書いてある」
「じゃあ0.5ってことか」
「だな。……最大量だってよ」
京一はスマホでハルシオンについて調べながらそう言った。
ハルシオンは確か強い薬だから……。
「市販じゃねえ筈だよな」
「ああ。まあ清涼会にしたら手に入れんのも簡単なんだろ。あの集団の一割はもうヤク中になってるくらいだからな」
「……詳しいな」
そう言いながらレイの肘の擦り傷を消毒しガーゼを貼る。
彼女の喉元を見ると、赤く手形がついていた。これは恐らく高田が首を絞めていた時のものだろう。これだけ強く首を絞められたら意識が飛ぶのも説明出来る。
ハルシオンは睡眠薬の中でも超短時間型と言われ、服用後15~30分で効果が出る。
でもあんなにすぐに倒れるなんて考えられないから、やはり首絞めによる失神と考えた方が良いだろう。
だとすれば。
「なあ、これ」
「ん?」
その痕を京一に見せる。