Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「ココアでも良いか?」
「うん。ありがとう」
渡されたココアは温かくて、スプーンで口に運ぶと全身に染み渡っていくのが分かった。
それを飲み終わる頃、ユウはゆっくりと聞く。
「どこか痛むところ無いか?」
「うん。ちょっと手首が痛いけど大丈夫……」
少し痛む程度だったけど、ユウはそれを聞いて青ざめた。
慌ててカップを奪い取る。
「見せて」
「え? そんなたいしたことじゃな……」
「良いから!」
彼は私の右手を見る。
「指は動かせる? ……骨折はしてなさそうだな」
「多分ちょっとひねっただけだよ」
「湿布貼っとこうか」
何だか過保護な親みたい。手首の痛みとユウの反応がちぐはぐ過ぎて少し可笑しかった。
ユウは作業したまま話し出す。
「レイ」
「ん?」
「レイのこと、京一が助けたんだよ」
「京一が……?」
ユウは湿布を貼りながらそっと私と視線を合わせた。
「実はさ、京一居るんだ」
「え? ここに?」
「うん。あっちの部屋にね。……話してみない?」
「……」
怖い。
それが正直な感想だった。
「やだ?」
「えっと……」
「きっと良い奴だと思うよ。……大丈夫」
ユウは私の手を握ってそう言った。
「ね?」
『優子!!』
目を閉じる直前、京一が私の名を呼んだのを覚えている。
彼に名前を呼ばれたのは何年ぶりだっただろうか。
私はユウの目を見て、ゆっくりと頷いた。