Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「あははっ、全部聞こえてたよ。京一が駄々こねてんの」
「ええ!? マジかよ……」
「ふふふ……あはははっ」
「な、何だよそんな笑う?」
「ごめん、ちょっと可愛くて」
「かわ……?」
本人はなぜ私が笑っているのか全く分からない様子だ。
私だって今の自分が京一の目に滑稽に移っていることくらい分かっている。でも、虚勢を張らないと、緊張が震えとなって表れてしまいそうだったんだ。
しかしそれも無駄だったと知ったのは京一の視線が私の震えた手に向けられていることに気付いた時だった。
「あれ、何で……」
どうして。
京一を「お兄ちゃん」と呼んで、笑いあって、可愛いなどと打ち解けた会話をして。
なのに今更、何に震えているというのだろう。
「ごめん。お、おかしいな……」
笑って何でもないというように右手を左手で押さえる。
早く収まってよ。何なの。
「っ、ごめんな」
一言だけ、京一は言った。
違う。これは京一のせいじゃない。京一に謝らせたい訳じゃない。
首を横に振ると、そっと彼は私の両手を自分の両手で包んだ。
「っ!」
「ごめん」
彼の手は大きかった。
昔は誰よりも良く知っていたその手は、いつの間にか知らない大きさになっていた。でもそれでも、その温かさとその手が安心することだけは変わらない。
私の手の震えは、京一の手に包まれている内に、いつの間にか消えていた。