Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
あ、そう言えば。
昨日終わった後、色々と汚れた身体を洗うためにとシャワーを浴びようとした時。
『ひゃっ!?』
立てなかった私にユウが肩を貸してくれたんだった。
身長はあるものの細身な彼は私を抱き抱えるなんて芸当は出来なかったのだ。
「忘れてた。じゃあ、何か軽いもの、お願い」
「おう」
部屋を出ていく彼の後ろ姿。
昨日、そんなに激しかった訳ではない。きっと私が初めてだったから加減してくれていたのだと思う。まだまだ体力も余ってそうなのに一回で止めてくれたし。
――あんな優しいセックスなんて知らない。
優しくキスをして、柔らかく私に触れて。
『怖い? やめるか?』
ユウは怖くなるくらい、優しく私を抱いた。
「わり、スープしか無かった」
「あ、大丈夫。ありがと」
食料無いのに昨日も今日も「何か食べるか?」と聞いたなんて、天然どころの騒ぎじゃない、と思うが別に食欲があった訳では無いのでスルーしておく。
戻ってきたユウが渡してくれたインスタントのコーンスープを話しながらゆっくりと飲んで、飲み終わってからまたちょっと話して、歩けるようになってからユウの家を出た。
「じゃあね」
「おう、じゃあな」
「送るか?」という紳士な提案を断って、一人でエレベーターに乗り込む。
そしてエレベーターが下へ移動を開始してから、スマホでユウのLINEを表示させる。
私とユウの繋がりはこれだけだ。LINEが消えてしまえば、もう会うこともない。
――削除しますか?
表示された問いに、私は『削除する』を選んだ。
その瞬間、画面の奥に見えていたベテルギウスがフッと居なくなった。