Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―



一度だけで終わりにするつもりだったのも、何度も遭遇して、運命じみたものを感じて諦めたことも。

セックス(そういうこと)に、淡白なことも。


空気に触れるように当たり前に、でも不明確に――感じているんだ。




「はいこれ。……なあ、1個聞いて良い?」



戻ってきたユウがQRコードを表示させる。



「何よ」


「何で焦ってたんだ? 初めてを捨てるの」


「ああ……」



次がある関係になったからか。



「別に……大したことじゃないけど。初めてくらい、自分の意思でしたいでしょ?」



─────
───



ユウと出会う1週間前。


あれは真夜中だった。

その日は体調が悪くて早めに寝たんだけど、逆に真夜中に起きてしまった。


私はトイレに行って自分の部屋に帰る時、兄の部屋の前を通らなきゃいけない。


兄貴とはもう随分話して無いし、お世辞にも仲が良いと言える関係じゃない。


早く通り過ぎてしまおう――としたその時。



『あっ、やっ……アンッ……』



中から喘ぎ声と部屋が軋む音がして、思わず立ち止まった。

わざとなのか、不注意なのか。それともただの無頓着なのか、部屋のドアは少しだけ開いていたんだ。


もう随分と兄貴とは話していなかった。だから兄貴がしていることなんて知らなかったし、何より興味が無かった。


でも中からそういう音がして、しかもドアが開いていたから、思わず覗いてしまった。


薄暗い部屋に廊下からの光が入って中のシルエットが見えるようになる。

臭いなのか、蒸気による息苦しさなのか、とにかく私は息を止めた。





それは、そこにあった光景は――正に、地獄だった。




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