Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「よお、兄ちゃん。ほれ、乗れよ」
そして運転手は助手席の窓を開けて言う。
暗くて良く見えないが、声やシルエットからして小柄でやせ型の男性の老人といったところか。
「ユウの知り合い?」
「そっ。ほら、乗るよ」
ユウは私の手を引いて後部座席に乗り込む。
車内には運転手しか乗っていなく、私とユウと、3人になる。
「しょうちゃん、わざわざ迎えありがとね」
「いやあ、遠慮すんなよ! 近いんだしな!」
“しょうちゃん”とユウが呼んだ彼は運転しながら明るく言う。
車は暗く人通りの無い道をずんずん切り開いてゆく。
にしてもほんと、真っ暗で誰も外に出てないなあ。っていうか、さっきからどんどん家も少なくなってない?
ちょっとなんか……不気味……。
ユウが隣に居るものの、肝心の運転手が知らない人だから無意識に体が強張る。
まさか、まさか……ねえ? そんなことは無いよね? 今もユウと“しょうちゃん”は仲良さそうに話してるもんね?
そして次第に車体が上を向いているのを感じる。
何これ、なんか登ってる? ねえもう、本当にどこに向かってるの!?
そして、また10分後。
「よし、着いたぞ! 降りろ!」
“しょうちゃん”の威勢の良い声に私達は急いで降りる。
目の前には……ちょっとした広場のようになっている所に簡易テントが建ててある。明るくなっているのは焚き火をしているかららしく、その周りに数人が暖をとっているようだ。
「じゃ、俺達はここに居るから。兄ちゃん達は一個上のあそこ使え。なっ!」
彼が指差す方を見ると、目の前のようなちょっとした平らな広場があるのが分かる。
というか、ここは山の上!?