Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
街に、光が差し込んだ。
奥をたどると、日が出たことが分かる。
建物に当たった光はその先に進むことが出来ずに影を生み出す。そして奥の建物はまた別の角度からの光が照らしていく。
その連続を上から見下ろすと、それはなんとも感動的な光景だ。
そして海に反射する光の筋を辿り、その源を捉える。まだ少ししか姿を見せていないが、それだけでも巨大なパワーを感じさせる。
私もユウも、街に一気に光が差し込んだその瞬間からしばらくの間、言葉を発することはしなかった。――出来なかった、と言うべきか。
「すごい……」
溜め息と共に外に出た言葉は、なんともありきたりな感想を紡いだ。
「綺麗、だな……」
隣でユウも、これまたありきたりな言葉を漏らす。
「……来て良かった」
私がそう言うと、ユウは少しホッとしたように息をついた。
「そりゃ良かった。……レイはあんまこういうの好きじゃねえかなと思ったから」
「好きじゃ無いよ」
初日の出とか、初詣とか、本当は嫌いなんだ。
毎日太陽は昇るのに、元旦の太陽だけ特別なのが理解出来なかった。
人々が馬鹿騒ぎするのが、嫌いだった。
それは今も同じ。
「そっか」
ユウは少し笑う。
こういうの、本当は好きじゃ無かったんだよ。
だけど今は、何も言えないほど圧倒されてる。
――ユウ、だからかな。
きっとユウ以外は無理やり連れてくるなんて出来なかったし。ユウじゃ無かったら意地張ってたかもね。
きっとこの光景って、今日じゃ無くても感動的なんだ。きっと毎日、同じ景色を太陽は作り出してる。
今までは、それを元旦の特権にするのが理解出来なかった。でも少しだけ、その気持ちも分かるような気がしなくもない。
「今年もよろしくな。つってもまだそんなに付き合い長くねーけど」
「……そういうの嫌いなんだってば」
私はそう言って太陽に背を向けてテントに戻る。
「ふっ……はいはい」
その背中を、ユウが笑いながら追い掛けてきていた。