Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「にしても寒い~。凍えそう」
彼は唇を震わせて白い息を吐き、手袋もしていない手を擦っている。
ユウが寒さを感じていると彼も私と同じ人間だったと思い出す。
なんだか彼は何にも動じないというか、無感覚というか。そんな感じがするから。
その雰囲気を“気高さ”と錯覚するから。
「ほら、いいって言ったのに迎えになんか来るから」
「は、お前人の好意をなんちゅう……。大体なあ、お前がそんなに絡まれやすいから……!」
「ふふっ、ごめんごめん。ありがと、感謝してるよ」
「……」
「ん? 何?」
急にユウが私の顔を見て黙った気がしたんだ。
「……いや」
「あ、ほらコンビニあるから何か温かい物買ったら?」
何も変わらない表情だったから、気のせいだったかと私は目の前にあるコンビニを指した。
「おう、そうする」
彼が買っている間、私は少し外の空気を吸っていたいからと外で待つことにした。
そういう気分なだけだったんだ、本当に。
ここら辺は、元々入り組んだ場所だ。人目に付きづらい路地裏なんていくらでもある。
丁度コンビニの脇にも細い路地が通っている。
何がそうさせたのかは分からない。何故かそこを覗いてしまった。
何か声がするような気もするが、もう大分遅いこともあって何も見えない。
だけど誰かがいることはなんとなく分かる。
かなり奥のようだ。少しずつ目が慣れて、人影が複数確認できるようになる。
何、リンチ……? ――いや、レイプ……?
複数人で1人を囲んでいるらしい彼らに、そんな考えがよぎる。
でもそれよりその人影の中に、見覚えがある人がいる……気がして。
「達弘(たつひろ)……?」
誰にも聞こえないような、辛うじて音を成した声が出た瞬間。
「よお、お前も興味あんの?」
低い声で耳元で囁かれて体が震えた。