Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「夏川君さあ、他校の人と喧嘩したらしいよ……」
「えー、マジで?」
「マジマジ。顔傷だらけだったし」
喧嘩じゃないだろ。一方的に殴られたんだよ。
「なんかそれに手塚君巻き込まれたって……」
「えっ、手塚ってあの手塚君? いい迷惑じゃん、真面目なのに」
いやいや、昨日の首謀者は手塚だからな。
「その原因がさ、橘さんらしい……」
なんで! どうしてそうなる!?
「えっ、そうなの? どういうこと?」
「ほら、橘さんって『清涼会(せいりょうかい)』の総長と付き合ってるじゃん?」
いや、初耳ですがね。
ていうか清涼会の総長って誰だよ!
そもそもまず清涼会って何だよ。何だその清涼飲料水みたいな名前! 酒飲めねえ奴等の集まりか?
今時暴走族とか絶滅危惧種じゃないの?
「それで、夏川君が橘さんをめぐって清涼会の総長と揉めたんだって」
何で女に興味の無い夏川が私をめぐって揉めなきゃならない?
「橘さんの取り合いってこと? 何で橘さんってモテんのー?」
モテないって。全部あんた達が想像したことじゃないか。
「え、橘さんってモテてるって言うの? 体で落としてるだけでしょ~」
「え、そうなの?」
「知らないの? 橘さん援交やってたこともあるって噂だよ」
――バキッ!
「ちょ、ちょっと……優子、抑えて……」
美穂の声に我に返る。
手に持っているシャープペンの芯が折れている。
「あっ、ああ……」
乱れた線を消しゴムで消してまた書き直す。