Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
朝、ホームルーム前に英語の課題を教えてくれ、と私のクラスに来た美穂。
そこまでは分かる。昨日からの約束だし。
だけど。
「橘も散々な言われようだな~」
だけど……。
「どうしてお前が居る!? 夏川!」
「え? 俺も教えてもらおうと思って」
何故か私の目の前には、美穂と夏川が座っている。
「はぁー……」
「強く生きろよ、橘」
「そうだよ。負けないで、優子!」
「うるさい! さっさと解く! ほら!」
「「えー」」
「えーじゃない!」
それからホームルームが始まるまでの20分の間に全ての問いを教えるのに、かなり苦労したのだった。
「で、何でここに居る?」
昼食の時間になり、私の目の前には朝と同じ光景が。
「何でって……理由とか無いだろ~」
「ねえ~」
私は別に構わないが、ほら、周りが。水を得た魚だ。
「ね、ほら言ったじゃん。橘さんと夏川君……」
「やっぱできてんだ、あの二人」
この声が聞こえてない訳じゃないだろ、夏川?
そう思って彼を見ると、少しだけ気まずそうに苦笑いしている。
「ね、てことはさ、倉本(くらもと)さんも何かあんのかな?」
倉本というのは美穂の名字。
ほら、私に寄ってくるからあんたも変な噂流されるよ。
そう美穂を見ると彼女はへらっと笑って見せる。
「ったく……」
「あれ、優子? どこ行くの?」
「踊り場。行くよ」
私は空気の淀んだ教室から逃れるように、階段の踊り場へ向かった。