Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「じゃいいじゃん。相手探してたんでしょ?」
「お前なあ、こういう時って成人してる方が悪くなるんだぞ?」
「ああ、それは大丈夫。親は良いって言うから」
ていうか、それ言い出したらナンパも中々攻めてると思うけどね。
「俺捕まりたくないんだけど」
「……信用出来ないなら録音でもしてこようか?」
彼が納得していないようだからそんな面倒な提案をする。
「……じゃ、頼むわ」
「了解。こっちからも1ついい?」
「何?」
「どうせ童貞じゃ無いんでしょ? 病気持ってないか、調べてきてくんない?」
私の言葉に、彼は少しだけ面食らったようだった。
「おお、分かった。じゃLINE教えて」
「いいよ……と、これだ。はい」
「ほい」
彼がQRコードを読み込んでいたスマホを私のスマホから遠ざけてから少しして、LINEに新しいアイコンが表示された。画像はオリオン座だ。右肩のオレンジ色の巨星、ベテルギウスがやけに目立つように誇張されている。
「これね?」
「そ。追加しといて」
「はーい」
“追加”のボタンを押すと、ウサギが人参を食べているスタンプが送られてくる。
「ふふっ。何これ」
「ちゃんと送れてる?」
「うん」
「良かった」
彼は無頓着に相槌を打って立ち上がった。
トレーを使用済みの欄に置き、店を出る。
そして階段を下りた所で、ふと彼が言う。
「なあ、お前って処女?」
「え? うん、そーだよ」
「ふーん……」
「じゃ、分かったら連絡して」
「了解」
踵を返して去っていく彼の後ろ姿を眺める。
ユウのLINEの名前は、「*」だった。