Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―






もう暗い道を1人で歩くのにも慣れを通り越して何も感じない。暗いと言っても辛うじて明かりはあるし、これに関しては都会で良かったのかもしれない、とらしくない考えを抱く。

ただでさえ絡まれやすい体質なのに夜道を1人で歩いて平気なのか、と聞きたくなるだろう。

勿論、大丈夫なわけない。今まで何度連れ去られそうになったり、ホテルに連れ込まれたりしそうになったことか。
しかも夜に絡んでくるのは大抵酔っ払いだ。しつこくて敵わない。それでいて別の日の昼間にすれ違っても向こうは気付かないんだから、私が損をするばかりだ。

だからと言ってはなんだができる限り安全なルートを模索するようになり、今は交番が途中にあってコンビニや24時間営業の店が並んでいる遠回りのルートを使っている。


今日もまた、下校にその道を使っている。まだ午後5時半を回ったところだが、今の時期ならもう真夜中並みの暗さだ。


でももうこの景色も見飽きたな……。何かびっくりするようなことが起きてくれないかな、なんて。そんな都合の良いことがホイホイ起きるわけないよね。



「よっ。久し振り、優子」



突然の聞き覚えのある声に、思わず身構えた。この声には最早本能的に全身の筋肉が強張るようになってしまっている。

どうやら、“そんな都合の良いこと”がホイホイ起こったようだ。いや、決して望んでいたものでは無いのだが。


私の知っている声の持ち主ではないことを期待しながら、下にずれていた視線を引き上げる。


だけど、気配を感じるのさえ嫌なほど私のトラウマになった彼の声をそうそう聞き間違える筈もなくて。

上げた視線の先には、彼がいた。



「達弘……」


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