Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
the Galaxy
「ね、良いじゃないですかぁー。誰も来ないみたいですし」
土曜日の午後5時、駅構内で私は見ず知らずの男に絡まれていた。
私の腕を掴み顔を近づけて話し掛けてくるその男に、私は精一杯の抵抗をしていた。
「いえ、これから来るんで」
もうほんと近寄んないで。
「えぇー、それ嘘でしょう?」
「ほんとです。ちょっ、もう放してくださ……」
こいつマジでしつこいっ……。
「よっ。お待たせ」
そろそろ我慢の限界、という時に待ちわびていたユウがひょこっと顔を出した。
「ね、放してくれる? この子、俺と待ち合わせしてたんだよね」
「な、な、……お、男がいるなら最初から言えよ!」
ユウを見て急に男は挙動不審になる。
ユウが男の手を掴むと、そいつは捨て台詞のようにそう言ってそそくさと逃げるように去っていった。
「いや、言ったやん……」
短い足をせかせかと動かして遠ざかっていくそいつの背中をユウと二人で見送る。
「……あんたが遅いから」
「悪かったよ。にしてもお前絡まれやすすぎじゃねえ?」
「自分だってナンパしてきたくせに」
「それ言われちゃ言い返せねえわ」
まったく口調変えずにユウはそう言う。
「……じゃ、行くか」
「うん」
その男が視界から消えてから少しして、ユウは私をリードするように歩き出した。