Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「やめろよ! は……なせ!」
「大丈夫、今日はやるつもりないし。だけどちょっとこうした方が雰囲気出るじゃん?」
「何、言って……」
――ドンッ
達弘は私の顔の横の壁を拳で突く。
「また、俺と遊ぼーよ、優子チャン?」
――パシッ!
彼がそう言い終わる前に高い音が響く。
彼の頬と私の手のひらが同じ淡い赤色に染まっていた。
「ふざけないで。誰があんたなんかと関わるかよ」
「ってー……てめえ、あんま調子乗んなよ?」
それまでずっと気持ち悪い笑みを浮かべていた彼も苛つきを表情に出した。そして私の顎を右手で乱暴に掴み、上を向かせる。
私は爪先立ちになり、半ば彼に吊るされているような感覚になる。
そして嫌いな顔が近付いてくる。
「舐めんなよ?」
高校に入って会わなくなったこの10ヵ月くらいで大分声も変化したようだ。所謂声変わりではないが、年齢より大分老けている、と言うか。低くドスが利いている。
そこで路地の横を人が通り過ぎる。あまり奥では無く、入り口付近だったためこちらを奇怪なものを見るような目で見ていた。
「チッ……じゃ、またな」
彼はそう吐き捨てて去っていく。
“また”があってたまるか、という言葉は音にならなかった。乱暴に放されて足の力が抜けてその場に座り込んでしまったから。
捕まれた顔が痛い。
「何で……」