Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
「ちょっと……何?」
連れてこられた先はスーパーマーケットだった。
「ちょっとは自炊しねえと、ほんと体に毒だから」
「え……」
まさかユウの口から“自炊”なんて言葉が出てくるとは。そんな言葉すら知らないかと思ってた。
「んだよ?」
「自分だって冷蔵庫に何も入っていない癖に」
「俺は良いの」
「何それ。っていうか、ユウ料理出来んの?」
「分かんない」
「は?」
え、料理出来るか分かんないないのにそんなにポンポンと食材をかごに入れているわけ? どうするのそんなに買って。
「ね、それ私一人じゃ食べきれないよ」
かごの中はみるみると食材に溢れ、私は思わず彼の腕を掴んだ。
「大丈夫だろ」
それなのに彼は気にする様子も無く、どんどん進んでいく。
何かユウって予想外の所で強引なんだよなあ。
結局彼に押し切られ、私は重いビニール袋を抱えて残りの家路を歩くことになった。あ、勿論2つある内の重い方はユウが持ってくれたのだけど。
そして電車に乗り込む。
「何か変な感じ」
「そうか?」
だって制服を着て、スクールバックを右肩に掛けて、左手にはスーパーの袋を持っているんだもん。
あ、思えば買い物をするなら私の家の近くで買えば良かったんだ。
でも車内では思ったより注目されなくて、少し安心した。
家にユウが来るのは思えば初めてだ。彼の家にはよく入りびたっているけど、呼んだことは無い。
「ここの3階」
ユウの住むタワーマンションとはレベルが違うが、うちのマンションも中々綺麗な方だろう。5階建てで、その背の低さも私は結構気に入っている。
「へー、洒落てんね」
「そう?」
緑を取り入れたデザインに、ユウは声を弾ませた。