Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―



兄が私に何か声をかけてくるなんて考えられない。誰だ?



「おーい、京一ぃ! 開けろよお!」



ふわふわとした声と共にドアノブがガチャガチャと音を立てる。


どうやら兄の友達が酔って部屋を間違えているらしい。



「おい、そこじゃねえぞ。こっちだ」



兄の声とは違う、また別の声がそう言う。



「あれ~? そうだっけ?」



そうして足音が遠退いていった。
すぐにユウを押し返す。


「ほら、どいて」


「えー……けちー……」



彼は渋々と私の上からどく。

彼は最後に名残惜しそうにおでこにチュッとキスをした。



「続きはまた、俺んちでね?」


「えっ……」



さらっと言われて思わず顔が火照る。



「良いだろ?」


「……う、うん……」



そして打って変わって真剣な目になった。
思わず固まる。



「ねえ、レイ。今日、何があったの?」


「え?」


言われて気付いた。

今日、達弘に会ったことをすっかり忘れていた。

どうして? あんなに嫌な出来事を、こんな数時間しか経っていないのに忘れてたの?

私は昔から嫌なことがあった時、中々忘れられないタイプの人間だった。忘れようとすればするほど記憶にこびりついてずっと考えてしまうのだ。

それなのに、どうして? ――ユウの、お陰?


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