愛する人を見つけた
29
「さて。俺たちも 買い物に行こうか。」
レストランを出ると 隆三は 私の手を取る。
「何、買うの?」
私は 隆三を見上げる。
引っ越し先が決まって 必要な物は たくさんあるけれど。
まず 今ある荷物を入れてから 買い足す物を 決めようと話していたから。
「指輪。ユズに。」
隆三は 繋いだ手の 薬指を撫でる。
「えっ。」
私は 立ち止ってしまう。
「一緒に選びたいから。サプライズじゃなくてゴメンね。」
私の肩を抱いて 押すように 歩きだす隆三。
私は激しく首を振り
「ううん。すごく嬉しい。」
買いに来たことが サプライズだから。
私は 胸がいっぱいで 深呼吸する。