愛する人を見つけた

「腐れ縁って言うのかな。」

私が言うと

「だから そうなる前に 新しい恋を するんでしょう。」

と麻衣は 力説した。
 

「でもねえ。『カヤマさん』 素敵な人だもん。絶対、彼女いるよ。」

私が 弱気な言葉を言うと
 

「そうだね。どんな人か わからないもんね。」

と麻衣も頷く。
 

「麻衣。私のことより 自分のことが 先でしょう。麻衣こそ 早く告白しなよ。」

私は苦笑する。


麻衣は 社内に 好きな人がいた。

付かず離れずの、ほどほどに 仲の良い同僚。
 

「自分のことになると 本当に 意気地なしで。いやになるわ。」

と麻衣も笑う。
 

「私も同じよ。年のせいかな。」

私が言うと 麻衣は 神妙に頷く。
 

25才を 過ぎた頃から、どんどん 臆病になっていく。

合コンに 誘われる回数も 減っている。


たまに 誘われる合コンは、30代半ばの 男性ばかり。

だから踏み出せない。

新しい恋に。


そして無駄な恋も手放せない。
 
 
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