愛する人を見つけた

6

「俺　あんまり　お酒　強くないんだけど。」

と言って　香山さんは　二人分の　グラスワインを注文した。
　

「私も。顔が　鬼のように　赤くなっちゃうんです。」

私は　一口　ワインを飲んで言う。
　

「内藤さんって　面白いですね。」

香山さんは　私の言葉に　ケラケラ笑う。
　

「えっ。そうかな。つまらない女ですよ。」

ワインのせいか　香山さんのせいなのか。

私は　顔が熱くなって　片手で頬を扇ぐ。
　

「やっぱり面白いよ。歯医者さんで見た時は　ただ綺麗な人だと　思っていたけど。」

香山さんは　サラッと　私を褒める。
　

「冗談でしょう。香山さんこそ。モテそうな人だなって　思っていましたよ、私も。」

私は　初対面に近い人に　本音を言ってしまう。