愛する人を見つけた
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渋谷駅の 改札を抜けると 香山さんは
「映画とボーリング、どっちがいい?」
と私に聞いた。
「ボーリング?しばらく やってないなあ。」
私は笑顔で言う。
『遊びに行こう』と 香山さんは言ったけれど。
私は 軽く 食事をするだけだと思っていた。
「じゃ ボーリング 行ってみる?」
と言った後で 香山さんは また ハッとした表情をした。
そして
「爪、大丈夫かな。」
と言って、私の手を取る。
短く 切り揃えた爪には ピンク系のマニュキアが 薄く塗ってあるだけの指。
「私 爪伸ばしてないから。大丈夫です。」
香山さんに 手を触れられて 私の心臓は 音が聞こえるくらい ドキドキしていた。