愛する人を見つけた

「俺、ホント 気が利かなくて。ごめんね。」

香山さんは 申し訳なさそうな声で言う。


でも 私の手は 離してくれない。
 

「ううん。私も ボーリングしてみたいって思ったから。すごく久しぶり。大学生以来かも。」


香山さんに 掴まれた手が熱くて。

私は早口に答える。
 

「俺は 事務所の連中と 時々やるよ。運動不足解消。」

香山さんは そう言った後で 確認するように 私を見る。


私が 笑顔で頷くと 手を繋いだまま 歩きだす。
 


香山さんの手は 大きくて 少し骨っぽくて 温かかった。


私は 口から心臓が 飛び出しそうなくらい ドキドキしていた。
 


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