愛する人を見つけた
「ねえ、お腹空かない?」
3ゲームが 終わった時に 香山さんは言う。
「うん。ペコペコ。」
私も素直に答える。
「そろそろご飯、行こうか。」
と言う香山さんに、私は頷く。
「ユズちゃん、何食べたい?」
自然と 名前で呼ばれて、私は 少し照れて俯く。
「私、好き嫌いないから。何でも大丈夫。」
「運動したから。お肉食べる?ハンバーグは好き?」
ボーリング場を出ると、香山さんは
「爪、大丈夫だった?」
と言って また 私の手を取る。
胸が ドキドキして 私は 頷くことしかできない。
何で こんなに 楽しいのだろう。
手を 繋いだだけで、どうして こんなに嬉しいのだろう。
もっと 香山さんを 知りたい。
香山さんに 好かれたい。
私は 心に湧き上がる 思いに戸惑っていた。
今まで 誰に対しても こんな風に 感じたことはない。
私は 生まれて初めて 誰かを 好きになったのかもしれない。