愛する人を見つけた
そして 香山さんは 本当に すぐに迎えに来た。
香山さんのアパートと 私のアパートは 5分も 離れていないから。
「もう。急なんだから。またこんな格好だよ。」
アパートの下から 電話が鳴って、私は すぐに駆け出す。
「エヘヘ。いいの。そのままで。」
香山さんは 昨日よりも もっと 親しみを込めた笑顔で 私を見る。
「でも、すごく嬉しい。」
私も 正直に 言ってしまう。
胸が熱くて。
初夏を 思わせる日差しが 眩しくて。
香山さんは 自然と 私の手を取って 歩きだす。
まるで恋人のように。
浩太と 別れるまでは 友達でいようって 言ったくせに。
甘い目で 私を見つめて。
私 ブレーキを 外してしまいそう。
もう 香山さんのことしか 考えられない。
香山さんの言葉が 胸に残っていて。
香山さんの笑顔が 目に焼き付いていて。
「目が醒めたら ユズちゃんに 会いたくなっちゃって。」
なんて言うから。
そんなの、私も同じだよ。
必死で抑えていたのに。