愛する人を見つけた
14

香山さんと 公園デートをした夜 私は 浩太に 電話をかけた。

普段 私からは 滅多に 電話をしない。

タイミングが合わないと 浩太は 冷たい声で 『後で掛け直す』って言うから。
 

『ユズから電話なんて、 珍しいな。』

こんな時に限って 浩太は 優しい声を出す。
 
『うん。浩太 今度いつ 東京に来る?』

できれば 会って話したい。

でも いつ会えるか わからないから。


私は 早く 浩太と別れて 香山さんと 付き合いたかった。
 

『今月は 無理かな。ボーナス時期で 忙しくなるから。』

浩太の返事に 私は 電話で伝える決心をした。
 


『あのね。本当は 会って話そうと思ったんだけど。次 いつ会えるか わからないから。』

と前置きをして 私は 一度言葉を切る。
 

『浩太。私達 もう 終わりにしよう。』

と私は言った。
 

『待てよ。なんだよ、急に。』

浩太は 珍しく 慌てた声を出す。
 


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