愛する人を見つけた
15

「香山さんって どんな感じ?カッコいいんでしょう。ジャニーズ系?」

麻衣は 気分を 変えるように 明るく聞く。
 
「うーん。戦隊ヒーロー系かな。意外と 筋肉質だし。」

ボートの上で 香山さんに 抱き締められた時のことを 思い出し 私は 少し 頬を染めて 言う。
 

「ねえ。別にもう 付き合って いいんじゃないの。ユズは 浩太君に 別れようって 言ったんだし。あとは 浩太君の問題じゃない。」

麻衣は 真剣な顔をして言う。
 

「そうなんだけど。何か すっきりしないじゃない。」

私は 首を傾げて言う。
 
「実際 今だって 付き合っているような もんじゃない。」

麻衣は 悪戯っぽく笑う。
 

ちょうど テーブルの上で スマホが鳴る。

裏返すと 香山さんからの ラインだった。
 
「あっ。香山さんだ。」

と言って、私は画面を開く。
 

『ユズちゃん もう帰った?』
 
『まだです。恵比寿で 友達と食事しています』

私が返信すると、
 
『俺 仕事終わったよ。一緒に 帰ろうか』

香山さんのラインを 麻衣に伝えると、
 

「ねえ ここに呼んでよ。私も会いたい。」

と麻衣は笑顔になる。
 

私は 香山さんに お店を教えて
 
『香山さん 来ませんか。友達が 会いたがっているの』

と送る。
 
『行ってもいいの?』

香山さんの 控え目な言葉が嬉しくて。
 
『もちろん!』

と返す私。香山さんは、

『じゃ、すぐ行くね』

と答えてくれた。
 


「麻衣。本当に 香山さん 来るって。どうしよう。」

私は急に、ソワソワする。
 
「ユズ、可愛い。恋する少女みたい。」

と麻衣は笑う。
 
「香山さん カッコいいから。麻衣 好きにならないでね。」

心配そうに 言う私に 麻衣は 呆れた顔をして
 

「はいはい。」


と笑った。
 
 


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