愛する人を見つけた
「俺も長男だから。ユズの実家に 入ることはできないよ。」
浩太の言葉は 弱くなる。
「そうよね。私の人生と 浩太の人生は 別々なの。だから もう浩太とは 付き合えないの。」
私は 麻衣が考えた 作戦通りの言葉を続ける。
浩太は 絶対 私の実家に入らない。
今すぐ 私と結婚して 葡萄農家を継ぐことを 条件にすれば
浩太は 絶対 引き下がるだろうと 麻衣は言った。
「そうか。それじゃ仕方ないな。残念だけど 俺は ユズを諦めるしかないよ。」
浩太は 作り笑いをして私を見る。
「浩太が 本気で私を好きなら 私と一緒に 山梨に来られるでしょう。浩太にとって 私はその程度だったのよ。」
と私が言うと 浩太は 気まずそうに 顔を伏せた。