愛する人を見つけた

私は首を振り、
 
「加山雄三。」

と答える。

麻衣は ケラケラ笑い、
 
「別人でしょう。」

と言う。
 

「当たり前でしょう。でも 名前呼ばれた時 一瞬 ハッとしちゃった。」

私も笑う。
 

「うん。わかる。珍しい名前だよね。別人だとしても。」

麻衣は まだ笑っている。
 

「しかもその人 おじいさんじゃなくて 若いの。私達くらいかな。」


私の言葉に 麻衣は 驚いた顔をして
 
「それって、名前付けるとき 絶対に 意識したよね。」

と言う。
 

「そうだね。なんで 同じ名前にしたんだろう。」

私が言うと
 

「お母さんが 大ファンなんじゃない。」

と麻衣はまた笑う。
 

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