愛する人を見つけた
ようやく離れた私達は 逆の電車に乗る。
肩を抱かれたまま 香山さんに寄り添う私。
休日のお昼前。
部屋に帰るには あまりにも早い時間。
本当は 早く二人きりに なりたいけれど。
人目を気にせずに 抱き合いたいけれど。
「水族館に行こうか。ペンギンが 空を飛んでいるから。」
池袋で 電車を降りると 香山さんは言う。
「本当?素敵。」
私が笑うと 香山さんは 甘い笑顔で 私を見つめる。
「ユズの写真 たくさん撮るんだ。」
と優しく言って。
「二人のも、取りたい。」
私も甘えて言う。
こんな私 今まで どこに居たのだろう。
香山さんの腕に しがみ付いて。
少しも 離れたくなくて。
甘えた声でつぶやく私。