もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
かなりの都会。
一等地に建てられたマンションの中でも一番大きくて高い。
高級感にあふれた場所に、私はさらに居心地が悪くなる。

恭と一緒に住んでいた家とは全く違う雰囲気。

「25階なんだ。エレベーター、大丈夫?」
「はい。」
私たちはまだ敬語を使ってしまう瞬間がある。そのくらい微妙な距離がある。

この距離を埋めないと記憶の扉は開かないような気がしていた。

「行こうか」
「はい」
嶺にエスコートされて、私は地下の駐車場から25階への直通のエレベーターに乗り込んだ。

「平気?」
「はい」
私の状況をこまめに確認する嶺。
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