もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
玄関の扉が開くと、目の前に長い廊下があった。

「ここは物置。隣は寝室。その隣は俺の仕事部屋。仕事部屋ではレコーディングもできるようになってる。反対側はここは浴室。隣はトイレ。その隣は客間。」
ものすごい部屋数。そして一つ一つも広い。
次の扉まで一体どのくらいの距離なのか歩数ではかりたくなるような広さ。

「そして、ここ」
嶺が廊下の奥にある大きなドアを開けると、そこには大きなグランドピアノが置かれていた。

広い広いリビング。
大きなグランドピアノを中心にして、大きなソファやローテーブルがある。
奥にはかなり広いキッチンとダイニングテーブルのセットが置かれていた。

「家具も小物類も全部鈴の趣味なんだ」
「・・・なんか・・・わかる気がします。」
広くて落ち着かないかと思いきや、リビングは何となく落ち着けるような、懐かしい雰囲気。

「何か飲む?」
「・・・はい・・・」
嶺は私の緊張をほぐそうと、私にソファに座るように言うとキッチンへ向かった。
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