もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
私が何が何でも手伝うという気持ちでいることを察した恭。
「これ、切って」
そう言って私に大根を渡してきた。

「うん・・・」
少しバツが悪い気持ちになって、恭を見ないまま大根を受け取る私。

「机、拭き終わりました。俺も何か手伝います。」
多分、私と恭の雰囲気の悪さを察した嶺が気を使って話しかけてきたのだろうと思う。
「ありがとうございます」
恭が嶺にこたえるその声は私と話をする声とは違う。

大根を洗ってから切り始める。
私の横では恭が鍋に食材を入れていた。

恭はよく鍋料理をする。
特に私が体調を崩している時や食欲のない時には鍋料理にしょうがをいれて体を温められるように工夫してくれたり、最後に雑炊を作って少しでも量を食べられるよう、食べやすい工夫をしてくれていた。

今夜は鍋料理。
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