もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
『笑わなくていい。話さなくたっていい。何もしなくたっていい。つらいなら泣けばいい。でも、命だけは投げ出すな。命だけは捨てんな。頼むから。』

2年前不安定だった私を助けてくれた恭。
海水でびしょびしょの体。
恭の顔も濡れていただけかもしれないと思っていた。
でも、やっぱりあの時、恭は泣いていたのだと確信に変わった。

「俺の生きる理由になってくれたんだ。あの時から。鈴は。」
「・・・」
知らなかった事実に涙があふれ出す。

泣き始める私に恭はふっと笑って私の頬に手を伸ばした。

「ありがとうな。鈴。」
恭の言葉に私は首をぶんぶんと横に振る。

「鈴は俺の天使だよ。これからも。」
大きな熱い手で私の涙を拭う恭。
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