もう一度君と ～記憶喪失からはじまる2度目の恋～

「幸せになれよ。鈴。」
「・・・恭も・・・」

恭は涙を止められずにいる私の体を抱き寄せてくれた。

落ち着くリズムで背中をさすってくれる。
このリズムを忘れたらいけない。

「あーあ。泣かないように頑張ったのになー。」
しばらくして私が空気を変えようと話すと恭は耳元で笑った。

「ばか。誰だと思ってんだよ。俺を。」
いつものようにそっけない言葉。

そして、恭は私から体をはなすと「帰るぞ」と立ち上がった。
私が立ち上がるまで待ってくれる恭。

後ろを振り向きながら私に歩幅をあわせて歩く恭。