もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
次の日。
私は嶺と一緒に、彼の運転する車に乗り込んだ。

「行ってらっしゃい」
私を見送ってくれる恭。

「行ってきます」
一晩中練習した笑顔で私は伝えることができた。



嶺は走り出した車の中で、涙をこらえきれない私の手にそっと触れて慰めるように手を握っていてくれた。


ちゃんと過去と向き合わないとならない。

だって・・・私自身のことだ。ちゃんと・・・記憶を取り戻す努力をしないとならない・・・。
嶺の家につくころ、私はそう決意を固くかためていた。
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