もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
落ち着くぬくもりを感じながら、私はもう一度目を閉じた。

大丈夫・・・大丈夫・・・


心に言い聞かせても、次第に頭に靄がかかってくる。

「・・・っ・・」
襲ってくる見えない恐怖に次第に私の手の震えが大きくなる。
口がガタガタと震えて歯ががちがちとなりそうだ。

「怖い・・・」
「大丈夫。大丈夫だ。ここにいる。」
低く落ち着いた声が聞こえてくる。

暗闇の中、見えない恐怖に吸い込まれそうになる私をいつもつなぎとめてくれるのは恭のぬくもりと、いつも私を導いてくれる恭の声だった。
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