もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「あちゃー。派手に失敗しちゃったな。」
「かして」
嶺に手を伸ばして選手交代してハンバーグをひっくり返すと嶺はきらきらとした目で手をたたいた。
「俺、自慢じゃないけど本当に料理できないんだ。ごめん。」
しゅんとする嶺に、私は少しほっとしながら首を横に振った。

「私、上手じゃないですけど、食事よかったら作ります。」
「本当!?」
「・・・することもないし・・・しばらくは・・・あっでも仕事探します!ちゃんと家賃の足しになるくらいは・・・半分は難しいかもしれないですけど・・・」
住まわせてもらう以上、何もしないわけにはいかない。
仕事をしてちゃんとこんどこそ自立しないとだめだ。

「ばか」
意外な嶺の言葉に「へ?」と変な声をあげた私。

「そんなこと考えなくていいの。今は仕事なんてしなくていい。ゆっくりと体を休めてほしい。じゃなかったら一緒に帰ってきた意味がないだろ。」
少し険しい表情の嶺。
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