もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「ここにいてくれるだけで十分だ。」
そうは言ってくれても私の気が済まない。

迷惑ばかりかけて足かせになってしまうのだけは嫌だ。

それにもしも記憶が戻らなかったときのことを考えればいつか嶺が私に愛想をつかして離れたいというときがくるかもしれない。
今の状態ならその可能性の方が高い。

そうなったときに・・・ちゃんと自立していないと私自身が困る。


「でも・・・」
「鈴」
言いかけた言葉を遮るように名前を呼ばれて黙る私。
嶺に見つめられて金縛りにでもあったかのように体が動かない。

「俺はただ鈴にここにいてもらえるだけでじゅうぶんなんだ。でも、それじゃあ鈴の気持ちが済まないっていうなら・・・そうだな・・・。食事を作ったり、掃除や洗濯をしたり、時々簡単な俺の仕事を手伝ってもらえると嬉しいんだけど。それでどう?」
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