もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
夜になり私は広い寝室のベッドの上で眠れずに何度も寝返りをうっていた。

眠れない。

慣れないベッドだからじゃない・・・。

目を閉じるのが怖くて眠るのをまるで体が拒否しているようだ・・・

眠ることをあきらめて私は化粧用の机の引き出しに触れた。
この中には婚約指輪が入っている。

そして、今日一日嶺との時間を思い出す。

嶺は優しい。
それに過去の私を知っているからか、私が思うことを察して安心できる言葉をくれたり、支えようとしてくれているのがよくわかる。

恭に言われたのか私の食事量や水分量、薬の服薬まで確認してくれている。

でも、果たして私に対する嶺の想いはなんなのかわからない。
再会した時、私に記憶がないことを知って、記憶が戻らない私のことを嶺はどう思っているのだろうか。
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