もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
多くは語らない恭。
でも、私が必要な言葉はいつだって恭がくれる。

次第に私の呼吸が荒くなると恭は私の背中に手をまわして、私の体を起こした。

呼吸を整えやすいように、恭は体をかがめて私の体を抱き寄せる。
恭は自分の肩に私の額をつけさせると、片手は私の頭を撫でて、もう片方の手で私の背中をとんとんとたたく。

そのリズムに合わせて私は呼吸をする。

苦しい。

でもこの苦しい時間は必ず終わりがくる。
そう信じさせてくれるのも、恭のぬくもりだった。



もうろうとする意識のなか、何度も聞こえるのは、恭の『大丈夫』だった。
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