もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
私は簡単な朝食を作った。
嶺が大きな口で頬張る。
「朝からこんなにちゃんとしたごはんが食べられるって幸せだ。ありがとう」
勢いよく食べてくれる嶺に私も作り甲斐を感じた。
「鈴もちゃんと食べな。」
私は茶碗に少しだけご飯をよそい、完食するために必死に食べていた。
食欲は全くない。ほとんど眠ることができなかったからか、頭痛がしている。

ちゃんと前に進むために闘うエネルギーを蓄えないとならないと私も必死だ。

「11時に予約だから、10時半には行こうか。」
「うん」
「それまで俺仕事してるから何かあったら言って。」
「うん」
嶺は家で仕事をしていると教えてくれた。自分の仕事の部屋で作業をしたり、ネットを活用して打ち合わせをしたりしているらしく、しばらくはイベントの予定も入れずにいてくれてる。

嶺も一緒に私が過去と向き合うためのサポートをしてくれていた。

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