もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「はい」
「お薬を使ったってべつにいい。ゆっくり眠って体を休めることで、豊かな生活になるかもしれません。」
「はい」
いつの間にか、医師の言葉に嶺まで一緒に頷いている。
「体におったケガと一緒です。心も治りますよ。」

やけに信じられる口調。

私はいつの間にか頭痛が治まっていることに気が付いた。



病院からの帰り道。
運転してくれている嶺が口を開いた。
診察のあと、薬局で薬をもらうときも、車に乗り込んでからも口を開かなかった嶺に私は少し不安になっていた。

記憶は戻らないかもしれない事実に不安を覚えてしまったのだろうか。
それとも私が自殺未遂をするような面倒な人間だと思ってしまったのだろうか。
過去の私とのギャップにショックを受けているのだろうか・・・。
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