もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
しばらくして、私が目を開けると部屋に小さな電気がつけられていた。

あれからどのくらいたったのだろうか。
私は体を起こし、ゆっくり立ち上がった。

そして恭の姿を探す。

その姿を私は台所で見つけた。
大きな背中を丸めるようにして台所に立っている後ろ姿になぜか胸がどきどきした。

「ごめんなさい」
私の声に恭は振り返る。
そして私のそばへ近付くと背をかがめて私の顔を覗き込みながら、私の額をつんとつついた。

私が謝ると恭はいつもこうして私の頭をつついたり、少し不機嫌になる。
謝るなと言ってくれているのが分かっても、やっぱり・・・・私は恭にお世話になりっぱなしで謝らずにはいられない。
< 16 / 432 >

この作品をシェア

pagetop