もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
嶺はいつも起きてすぐに朝ごはんを食べて、食べながら目を覚ましている。
私は少し冷めていたお味噌汁を温め始めた。

朝食は和食を作ることが多い。

「手伝う」
キッチンに立っている私のもとへくる嶺。

「ありがとう。これ、運んでくれる?」
「了解」
「それからあのお皿出してほしい」
「どれ?これ?」
「うん」
こんなやりとりにもこの一カ月での変化を感じていた。

嶺は寝ぐせ頭のまま高い位置にある食器を出してくれた。
「はい」
「ありがとう」
「いいえ。いつもご飯作ってくれてありがとう」
「いいえ」

私たちはそれから一緒に朝食を食べる。
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