もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
こういう時がよくある。
嶺はきっと昔の私にしていたのと同じように距離が近いのは無意識なんだと思う。

そのたびに私の心臓はほかの誰かのもののように急に高鳴り始める。

この胸の高鳴りは嶺に再会した時と同じように、私の中の過去の記憶がそうさせているのだろうか。
それとも、今の私が嶺にどきどきしているのだろうか。

真実が分からないまま、私は考えを断ち切るようにキッチンを片付け終えると部屋の掃除を始めた。


広い部屋は掃除のやりがいがかなりある。
掃除機をかけたり、床を拭いたり、ピアノを拭いたり。
やることはたくさんあった。

忙しいくらいが今の私にはちょうどよかった。
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