もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
また少し頭が痛くなりそうで、私は慌てて考えをとめて体をふくと部屋着を着て頭を乾かした。

『ガチャ』
浴室の扉を開けるとそこには長い足を投げ出すようにして廊下に座り本を読んでいる恭がいた。
私が浴室から出てきたのをちらりと見ると恭は立ち上がって台所へ行ってしまった。

きっと私が体調を崩した後だったから心配して何かあったらいつでも助けられるように、浴室の前にいてくれたのだろうとすぐにわかる。

どうしてこんなにも私を大切にしてくれるのだろうか・・・。

そんなことを考えながら自分の部屋へ向かおうとすると「鈴」と恭の低い声に呼ばれた。

すぐに振り向くと、そこには恭がたっていて、両手を私に差し出す。
「?」
片手にはイオン飲料水、そしてもう片方の手にはバニラアイスとスプーン。

「え?」
「ほら」
手を出さない私の方へ恭はさらに近づける。
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