もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
「最近のカウンセリングの経過や今の水瀬さんの状況をお話ししてもいいですか?つらければ横になって聞いてもらっても構いませんし、途中で話を止めても大丈夫ですから。言ってくださいね。」
ちらりと恭を見ると、恭は大きく頷いてくれた。

医師に向かい私がうつむきながら頷くと医師は「ありがとう」となぜかお礼を言ってから話始めた。

「先月から週に一度カウンセリングをしていました。水瀬さんは一カ月前に長谷部さんの元から離れてこちらに引っ越してきたんです。環境の変化に伴い、カウンセリングもまだ現状確認程度でした。」
「引っ越し・・・?」
「あぁ。鈴は俺の家から、神永さんの家に引っ越したんだ。」
恭が視線を向ける先には私が目を覚まして一番先に目にした男性がいた。
「鈴の過去を知っている人で、鈴の婚約者だ。」
「・・・へ・・・?」
ずきんと頭が痛み私は自分の頭に手をあてる。

何かを思い出させようとしているのか、私の胸が騒ぎ始める。
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